以前、あるペットオーナーさんが、家の近くで拾った子猫を自宅で飼育し始めたところ、高熱(40℃)と嘔吐を繰り返し、2日後に治療の甲斐なく亡くなりました。
この子猫は血液検査により重度の白血球減少がみられ、汚物を検査センターに依頼したところ、猫汎白血球減少という伝染病だったことがわかりました。このオーナーさんの家には他にも猫がおりまして、伝染病のワクチンが未接種だったため、後日、嘔吐、下痢の症状がでましたが、インターフェロンなどの治療で何とか一命をとりとめました。
この猫汎白血球減少症という病気は、ウイルス感染症(パルボウイルス)で、感染すると子猫では高い死亡率をもたらす恐ろしい伝染病です。
今日では日常的に治療する機会は減少していますが、改めてワクチンの重要性を認識させられました。
このパルボウイルスは、外界で数ヶ月から1年以上も生き続ける厄介なウイルスです。人間が外から衣服や靴の裏底に付着させてウイルスを屋内に持ち込む可能性があるため、外出しないペットでも油断はできません。
そこでワクチン接種をしていないペット、接種して数年経過しているペットは、ぜひワクチン接種をお願いします。また、当院では年一回の追加接種を推奨しています。